大津家庭裁判所 昭和42年(家イ)2395号 審判 1968年6月08日
主文
申立人と相手方との協議離婚(協議離婚届出昭和三六年一一月八日大阪市都島区長受付)は無効であることを確認する。
理由
一、申立人の本件申立の趣旨、理由の要旨は、「申立人と相手方は、昭和一七年九月四日婚姻届を了した夫婦であつて、昭和四二年五月二九日まで同棲生活を続けてきた。ところが、申立人およびその養子義盛が、昭和四二年五月頃、申立人に対し、申立人と相手方との婚姻関係はすでに消滅しているなどといつて申立人を邪魔者扱いにしはじめた。そこで、申立人において疑問を感じて、その頃申立人の戸籍を調査したところ、主文掲記のような協議離婚届がなされていることを初めて知つた。申立人は相手方に対し離婚、その届出を承諾したことは全然ないのであつて、右届出は、相手方が申立人に無断でしたものである。したがつて、本件協議離婚の無効確認を求める」というにある。
二、当裁判所調停委員会の昭和四三年五月一六日に開かれた調停期日において、当事者間に主文同旨の合意が成立した。そして本件協議離婚届出は、申立人の承諾がないにも拘らず相手方において無断でなしたとの事実につき当事者間に争いがなく、当裁判所の調査によると、申立理由の要旨のとおりの事実を認めることができる。
三、よつて、当裁判所は、調停委員岩城隆徳、同浅田桂の意見を聴き当事者の合意を正当と認め、主文のとおり審判する。